アラ・ハバキの「道の奥」廻り

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zoom RSS 朝貢から交易へ、奥羽の特産物

<<   作成日時 : 2018/03/06 15:18   >>

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 『陸奥話記』によれば、1056(天喜四)年に陸奥守の任期が終わることになった源頼義はこの年の前半に、鎮守府将軍としての務めを果たすために鎮守府に赴き、数十日を過ごした。この時に奥六郡の主・安倍頼時は源頼義に「首を傾けて給仕」し、駿馬・金宝の類を悉く献上し、それは士卒にも及んだという。

 このことは、のちに『奥州後三年記』にある、1083年(永保3年)新たな陸奥守として赴任した義家にたいし、安倍氏の勢力を引き継いだ清原真衡が、日ごとに上馬50匹のほか、金・羽・アザラシ・絹布の類を多数献上した『三日厨(くりや)』と同じ行為であろう。

 これ以前に、『小右記』長和3年(1014)には、鎮守府将軍・平維良が摂関家・藤原道長に献上した北方の産物は「馬」20疋・胡籙・鷲羽・砂金・絹・綿・布などだった例がある。


 砂金・馬・鷲羽や絹などの布類は奥羽地域の産出だが、アザラシに代表される海獣の皮などはさらに北方の地域からのもので、平安時代前半の史料では、ほかに、アシカの皮や昆布、熊の膏(あぶら)や皮などもあることが記されている。これらの産物は、朝廷の儀式に用いられるだけではなく、摂関家など有力貴族の威を飾るものとしても重要であった。

 古代の朝廷が“まつろわぬ民”と向き合う方策は「朝貢と饗給」であり、これらの垂涎の産物を“まつろわぬ民”の首長からおさめさせ、見返りには「米・酒」「鉄製品」等が主要な品となった。
しかし、この体制は王臣家や国司の私的交易が広がるにつれ崩れていき、国司と鎮守府将軍の対立等を生んだ。

 このことは、『哭す奥州なる藤使君』を詠んだ菅原道真につづいて、三善清行が『藤原保則伝』で―権門勢家と夷俘の「酋豪」(有力者)との間で非常に活発な交易―が、元慶2年(878年)3月の秋田城攻撃にはじまる元慶の乱の原因と述べている。

 すでに弘仁6年(815年)『類聚三代格』には「国内不粛 大略由之」と中納言右近衛大将という重職にあった巨勢野足の奏上文に述べられているから、交易のトラブルは絶えずあったもののようだ。




<砂金/砂金採りのノウハウ>
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<黒貂(クロテン)/日本史のなかの毛皮>
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<胡籙(ころく)/みょうこう>
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「金」 天平勝宝4年(752)には、多賀郡以北の諸郡における調庸を布から金に変更し、正丁4人につき1両を
     納めることとした。

「馬」 10世紀末期から11世紀初頭にかけて、交易馬が20疋に定数化。

「絹」 延暦15年(796)相模、近江、丹波、但馬の婦女各二人を陸奥国へ派遣し、2年間蚕糸を指導させた。
     (続日本紀)

「出羽鵜」 10世紀段階、出羽国は毎年十二羽のウを「三所鵜飼」に供給。

「粛慎羽」 11世紀なって珍重される、白と黒の切斑をもつシロハヤブサでサハリンおよび沿海州で繁殖する。

「黒貂(クロテン)」 「源氏物語」にー表着には黒貂の皮衣(ふるきのかはきぬ)―あり、末摘花が着ていた。

「鹿の皮」 行縢(むかばき)と呼ばれる両足の覆いー流鏑馬(やぶさめ)や笠懸(かさがけ)のときなどに使用。




 北方産物は平泉藤原氏の時代も珍重され、基衡が摂関家・頼長にたいし、仁平3年(1153年)奥羽にあった摂関家荘園5荘の年貢増額に交渉のうえ妥結した年貢として砂金、布、馬、細布、漆、アザラシの皮、鷲の羽がある。

 また、基衡は久安6年(1150年)から久寿3年(1156年)にかけて、毛越寺に大規模な伽藍を建立し、都の仏師雲慶に毛越寺の本尊を依頼した報酬として

―圓金(えんきん)百両、鷲の羽百尻、大きなアザラシの皮60余枚、安達の絹千疋(ひき)、希婦細布(けふのせばぬの)2千端、糠部(ぬかのぶ)の駿馬50疋、白布3千端、信夫(しのぶ)の毛地摺(もぢずり)千端―

等に山海の珍物を副(そ)えて送ったという。



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