Taxi運転手あれこれ「話の続きは・・・」

野辺地駅から鳴沢橋のある交差点までの長く坂を下る道。
駅前ロータリーを出ると食堂と旅館や商店があり、中間の与田川橋を渡ると民家が多くなってくる長く坂を下る道。

この坂道から六ヶ所村尾駮までおよそ35km、まだかなぁと遠く感じられる時もあればあっという間のときもある。
それはTaxiの場合、車内の雰囲気をかもし出す運転手と乗客の距離なのかもしれない。



4月13日水曜日。夕方の6時過ぎ、まもなく暮れようかという空は穏やかに広がっていた。



「今日、こちらは風が強かったですか?」
鳴沢橋のある交差点に差し掛かる前に後部座席から、そんな声がかかった。駅から単独で乗車された50代とみられる乗客の声は落ち着いて穏やかなものだった。
今はそれほどの風は吹いていないが、日中はやや強いものがあった。その旨を応えると、「盛岡は強かったですよ」と言う。盛岡への出張の帰りのようだ。仙台まで行きたかったが運行が停止している列車のかわりにバス移動を考えたが接続が少なくて断念したという。

乗客のがわから会話のきっかけを作ってくれれば、その後の展開は広がりやすい。


行き先の指示から、六ヶ所村にある某社の社員であることはわかる。
時節柄「3.11震災」の話題になったのは止むを得ない、それは政府や事業者の対応であり、マスコミの姿勢でもあったりした。

「少し太りましたよ」と苦笑しながら言った。
この震災の影響で買占めと買いだめに走った話題に、これまではいつでも食べられるから腹八分で食事を終えられたけれど、この次いつ食べられるかわからない不安からかついつい満腹にしてしまったらしい、とその理由を分析してくれたのだ。
そんなことは考えなかったから物事を表現する視点に感心させられた。




「モリの踏切」を越えた頃に、「話題を変えましょうか!?」そう提案し、「この間の休日に深浦へ行ってきました」とつづけた。
なにかの話題の中に「津軽の出身」という言葉がはさまれていた。その「津軽」の話をしたかったからである。


風合瀬の道の駅「イカ焼き村」や海岸段丘上にある大戸瀬埼灯台の話をすると、「岩崎の方には足を伸ばさなかったですか?」と話題をひきとってくれた。日本海沿岸の出身でないことは、受け答えでわかった。それでも勢いに乗って「西浜街道歩き」をしている、と口に出してしまった。
こんなマニアックとも取れる話題はなるべく避けているのだが、「え~と、おおまごしと読むんだったかおおまごえだったか?」とあやふやな地名の読みに言いよどんでいると「おおまごし、です」という明確な答え方に背を押されたかっこうで「歩き」の話題を続けてしまったのだ。

大間越の境の明神や関所跡を探した時の話まで披露してしまった。


内心「まずい展開だよな」とTaxi車中を忘れてしまったような会話の方向を変えねばと思ったのだが、ついつい昨年の夏に歩いた「吉田松陰歩き」にも触れてしまった。
小泊から三厩へ山中を越える「みちのく松陰道」の話しには「大変そうですね」と合いの手をいれるなど、なんとも会話のうけのうまい人だった。


行き先までの所要時間を考えて、かいつまんで話したのだが、それでもマニアックな話題だ。

「ついついこんな話しをしてしまって申し訳ありません」と目的地が近づいた頃に言えば、「いいえ、乗車時間が短く感じられました」と如才なく答える。

そしてTaxiからの降り際には「話のつづきは、この次に乗せていただいた時に・・・・」という言葉を置いていった。




<道の駅かそせ「イカ焼きむら」で買った燻製>
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